« 5月28日(日) | メイン | 5月29日(月) »

2006年05月28日

Wiiについて少しまとめてみよう

 さて、今年の11月くらいから来年の頭まで次世代ゲームハードウェア戦争の本格的な戦いが始まる。Xbos360については日本での普及をほぼ諦めた印象に対し、SONYおよび任天堂は土台の日本商戦で勝てねばどうにもならない。むしろ、Xbox360の海外でのフィーバーにより外堀を埋められてしまった印象である。"日本的"ゲームで売ってきた両ハードは日本でのシェアをかけて戦うことになる。そして、この戦いはもしかすると敗者のゲーム戦略を潰しかねない戦いになる。

 その状況において、どちらかというとゲームとしての親しみやすさ・値段で勝負してきたのがWiiである。使用するCPUはGCで用いていたGekkoを進化させた、Broadway。大きなアーキテクチャの変更がない分、GCゲームのWii上での実現をより楽にし、また、開発費を低く抑えることができたはずである。

 Wiiの開発をする上で任天堂が強く意識したのは(おそらく)、遊び方の無限性を実現するためのハードという点だと思う。そして、遊び方を提案するためにはソフトウェアの多様性が必要になってくる。ソフトウェアの(質的な)向上ではなく、多様性が重要と考えたのではないか。

 実際、任天堂は多様性を重視したNintendoDSで携帯ゲーム業界においてほぼ勝利を手中に収めた。「脳トレ」「NintenDGS」などを含む「Touch!DS」世代により、既存の枠を超えたニーズを獲得。Wiiに向けての一つの確信を得たのではないかと想像できる。

 つまり、既存のゲーマーを無視することはしないが、新しい購買層を取り込むという発想。それが、一番現れているのは。Wiiのコントローラーだろう。リモコン型のコントローラー。ゲーマーの中でも意見が割れるデザインである。

 Wiiの話をしていたときに、友人が「でも、あのコントローラーって長時間プレイしにくそうだよね」と言った。これまでのコントローラーは両手支えが基本だ。しかも、自分の体の近くに持ってこれるため、腕の疲労は小さい。対して、リモコン型コントローラーは片手持ちだし、腕を伸ばした状況のほうが操作しやすいのである。

 「このハードは長時間プレイする顧客を主な対象にしていない」 自分が思ったのはこれであった。ある程度プレイして、腕が疲れたなぁ、と。そう思ったらやめてもらってかまわない。長時間プレイしたいプレーヤーには別売りのクラシックコントローラーを買わせればいいのだ。熱心なゲーマーならそれくらいは買うだろう。

 主な対称にしているのは、ゲームを短時間プレイする層なのだ。それこそ、ゲームは1日1時間を守る(もしくは時間的な事情で守らざるを得ない)人々を対象にしたハードウェアである。その短時間のプレイに最高のエンターテインメントを提供する。そして、そのプレイを継続することによって楽しみが深まる。これが任天堂の狙いではないか。

 NitendoDSも同様である。脳トレは一日分のプレイにさほど時間はかからない。ぶつ森も、状況に応じてプレイ時間を変えられるゲームだ。時間がないときはすれ違い通信の確認だけでいい。共通するのは、一日に一回は(なるべく)プレイしたほうがいいゲームということである。

 これまでのゲーマーと言うのは基本的に、ある一時期に一つゲームを集中的にプレイしていた。RPGとかはこのプレイスタイルに沿ったものであろう。これに対し、一つのゲームをゆっくりとプレイするスタイルが少しずつだが広まりつつあるのではないか。いや、自分はあまりゲームをやらないのだが、そう思う。

 同じようなのがネットゲームである。ある程度のネットゲーマーは毎日ログインし、ゲーム上での知り合いとともにプレイすることが多い。ゲームという習慣づけとも言えるかもしれない。

 ゲームと言うのが若者とか、一部の大人以外にも浸透するためにはこういう、一つのゲームをゆっくりやらせる戦略が重要なんじゃないだろうか。そういえば、うちの母親もテトリスを小時間ずつプレイしていた(その後、ヨッシーのたまご・ヨッシーのクッキーに移行する)。こういう層の取り込みには、けっこう重要なプレイスタイルの提案なんじゃないかな。

 ソフトウェア単位でこのような提案をしたソフトはけっこうあるような気がするんだけど、ハードウェアで支援してきたのはDSが初めてじゃないかと思う。これがある意味、ハードのソフトウェアシェアを大きく占める任天堂だからこそできる技。

 さて、Wiiは購買者にとってはかなり魅力的な値段を提示してきたようだ。この価格は、これまでの据え置き型ゲーム機と比べてもかなり安い部類に入る。NintendoDSともそこまで値段は変わらない。新規取り込みの可能性は非常に高いのだ。

 しかし、任天堂は新たなゲームハードウェアのモデルを提示した。NintendoDSは現時点で成功している。だがしかし、今後どうなるかはわからない。確かに、DSは売れたが、今後、ソフトが売れ続けるとは限らないわけだ。川島教授のためだけに買った人もいるはずである

 PS3もWiiもまだまだ発売まで半年以上ある。この時点で成功・不成功を語るのはナンセンスだ。だがしかし自分は、既存のゲームハードウェアの常識を考えれば、Wiiは成功する可能性の高いハード、と言うことができると確信している。

投稿者 nombi : 2006年05月28日 23:27

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://nombi.sakura.ne.jp/mt-tb.cgi/824